1927・日米甲州ワインプロジェクト
ご覧になっている背景写真の細い樹は、2015年2月上旬に米国カリフォルニア州で撮影された日本の固有品種、その名は「1927甲州葡萄」です。歴史を紐解くと、この甲州葡萄は1927年に宮崎高等農林学校(現宮崎大学)のマツバラシゲキ教授によって米国に寄贈されて以来、米国農務省管轄下の保管農場において2株のみ保存されてきました。然しながら米国内での栽培希望者がなく、このプロジェクトを一個人として独自にスタートさせた2005年時には2つのウィルスに侵されてしまっており、甲州葡萄本来の力、特徴が出し切れない状態の葡萄となっていました。
弊社ではこの「1927甲州」を健康な状態で甦らせるべく、2つのウィルスに感染していたその甲州葡萄からウィルスに感染していない新芽の成長点から健康な細胞を切り出して試験管培養する茎頂培養技術を用い、米国の規則に従い9年もの歳月を掛けてついに2014年春、史上初となるウィルスが除去されたクリーンな「1927甲州」を復活させることに成功しました(背景)。これにより「1927甲州葡萄」本来の房を実らせる伝統品種が87年ぶりに復活したことになります。
この甲州葡萄は弊社代表の鬼崎が米国農務省の機関に申請依頼し、2014年の春に米国内公認品種として史上初めて登録され、ウィルスに侵されていない甲州葡萄を米国内に植樹することが可能となりました。そしてこの「1927甲州葡萄」は
歴史が紡いだ因果から、88年の時を経た2015年4月17日にサンブリッジが逆輸入するかたちで再び日本に帰還し、日本の
甲州ワイン産業をより飛躍させる役目を担いつつあります。これにより日本国内でもクラシックでより上質な甲州ワイン
という新しい領域の可能性を秘めたステージが整うこととなりました。
このプロジェクトは、日本と米国内の先端ワイン醸造に携わる選ばれた日本人醸造士たちが参集し、同じ「1927甲州葡萄」を土地柄・気候の違う地球の2つの地点でデビューさせ、日本固有品種の更なる飛躍と、
日本食に最も合う日本固有のワインとして世界に広めていく醸造アーティスト達によるプロジェクトです。
2014年
2014年
2014年
2017年
2015年4月17日、1927年にマツバラ教授が米国へ寄付してから88年の月日を経て再び日本の地へ帰還した「1927甲州葡萄」です。
88年間カリフォルニア州の土壌養分を吸い続けたこの甲州葡萄がどのようなワインになるのか、誰も予想できません。
2014年史上初の引き渡しを受けた「1927甲州葡萄」。2022年までに総数を1,500本に増殖させるため、米国内の苗木屋さんへ引き渡し、カリフォルニア州内に植えられています。
この甲州が米国サイドの母体となる甲州の母木です。
年が明けて2015年2月、冬眠中の大母木(背景写真)「1927甲州葡萄」を選定して得られた穂木。この穂木が88年ぶりに新たな可能性を秘めて日本への帰還を果たします。
この穂木が日本サイドの母体となる「1927甲州葡萄」の母木です。
2005年から9年の歳月をかけて細胞ひとつから試験管培養し、2014年に史上初めて米国で公式品種として登録認可されたウィルスフリー(無菌)甲州葡萄の選定作業。
この樹が日米甲州プロジェクトに使われる「1927甲州葡萄」の大母木です。
2015年
88年ぶりに米国から日本へ帰還した「1927甲州」。農林水産省の管轄下施設で2年間に亘り実施されたウィルス監視期間を通過し、2017年3月30日、ついに弊社へ引き渡されました。
監視期間中に1本の苗木が残念ながら死んでしまいましたが、この6本が母木となり、今後苗木屋さんで約500本へ増やすための増殖作業にはいります!
(約5年必要)
日本へ帰還した7本の1927甲州のうち、2本が日本の環境変化に適応できず渇死、残りの5本が力強く枝を伸ばし始めました。2018年の収穫は246芽。
1月17日、ついに第1ジェネレーションが接ぎ木の為に引き渡されました。このジェネレーションが最初の品質評価対象となる苗木です! 最初の収穫となるため、接ぎ木をして生き残る目の数はおおよそ40%ぐらいを見込んでおります。
2018年